遺産分割前の賃料債権の帰属
遺産分割協議前の賃料債権の帰属
遺産分割前の相続財産たる賃貸不動産は、相続人の共有に属しますが、賃貸不動産から取得される賃料については、相続財産ではなく各共同相続人が相続分に応じて単独に有する別個の債権となります
相続財産は遺産分割により相続開始のときに遡って効力を有しますが、相続財産ではない遺産分割前の賃料債権は相続開始のときに遡ることは有りません。したがって、遺産分割前の賃料債権は各相続人の相続分に応じて帰属したままという事になります。
平成17年9月 最高裁判例
遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属するものであるから,この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は,遺産とは別個の財産というべきであって,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。
したがって相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に本件各不動産から生じた賃料債権は,被上告人及び上告人らがその相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり,本件口座の残金は,これを前提として清算されるべきである。
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